2010/7/12 「こんな大学で学びたい!―日本全国773校探訪記」
2010年7月12日 読書 コメント (2)
全大学人必読の書、なーんちゃって。
日本に存在するすべての大学を見に行った、東洋大学卒の元編集者、現フリーライター氏の探訪記。
今や、私大の半分近くは定員割れとなっており、募集停止、吸収合併、倒産、廃校となるのもまれではない。
その一方、どこでどんな教育がなされているのか、また、各大学のウリがなんなのか、大学自体も把握していなかったりする。
たとえば、関西の某大学ではキャビンアテンダント受験講座があるのだが、この大学は受講生を女子に限らず、むしろ男子が受講して外資系航空会社にキャビンアテンダントとして就職している。これは全国でもこの大学だけらしいのだが、当のその大学がその講座の希少性と価値にまったくきがついていなかったらしい。
理系の大学では、3年生になれば研究室に所属し、自分専用の机とパソコンが与えられ、教授、院生たちとともに教育研究に没頭し、その中で人格が磨かれて人として成長していき、ついでに就職もきまっていくのだが、文系の学生はそんなことは殆ど知らない。むしろびっくりする。
文系の学生にとって、学内での自分の居場所など、ないに等しい。サークルがあっても、部室のない大学もあり、学部の図書室さえない大学も珍しくない、らしい。
明治大学のように、教授の研究室と講義をする教室と、事務室しかない、というようなところもある。こんなところで、どうやって同世代の人間と話したり切磋琢磨しろというのだ。
図書館一つとっても、早稲田のように巨大な全学図書館と、各学部に図書室のある大学や、蔵書100万冊すべての本が開架の図書館を持つ関西学院大学(関東学院大学じゃありません)の一方、貧弱な全学図書館しかない大学もある。
東京の工業系大学にはほぼ明確なランキングがあり、工学院大学は下の方に位置する。しかし、とある学科のとある研究室は大変面白い研究をしており、そこの学生は有名企業にばんばん就職していく。
就職については、たとえ有名大ではなくても、ちゃんとした研究室のことは企業の側も知っていて、そういうところからは有名企業に続々と就職する。
千葉工業大学、なんて千葉の人間でなければ知らないようなところだが、ここも大学としてはやる気になっており、やはり就職は悪くない。
最近は文系科目で受けられる理工系大学の学部もある。そういうところでは、文系学生でも3年になったら研究室に入って机とパソコンが与えられ、あまたある文系大学では考えられない好待遇で勉強できる。
文系大学では、研究室どころか、ゼミに入らないで卒業することも可能。そして、大学内に滞留するところがなければ、講義が終わったらさっさと帰るしかなく、バイトに行くだけ。
とある経営学部の学生が、「私は●●大学の経営学部に入ったら××のゼミに入って勉強しようと思っていました。ところが、ゼミには定員があり、全学部生の半分しか入れない。これは詐欺だ。」と投書したら、「ゼミは必修ではありません。内容さえ選ばなければ全員がゼミに入れます。」と回答が帰って来たという。
文系では全員がゼミに入るのはほぼ不可能なので、語学や一般教養の教師がゼミを開校して埋め合わせている学校もあるらしい。
教授の待遇にしてから、個室が与えられる大学もあれば、6人部屋、2人部屋、なんてこともある。しかし、教授をスカウトして学校案内するときには2人部屋は見せず、個室しか案内しない、ということもあったりするから気が抜けない。
東洋大学という、マスプロの極みのような大学で、ところてん式に卒業させられた恨みがあるためか、工業系大学の研究室の存在が羨ましいらしい。
私の行っていた大学にも理工系学部があったが、ここの学生に「なんでこの大学に来たの?」と聞くと、「試験に英語がなかったから」という奴が殆どで、受験のときに英語の偏差値が60以上はあった(駿台模試だと50くらいだった)私としては、こいつらを今もバカにしているが、たしかに研究室みたいなものは私等の学部にはなく、机などがあるのは院生以上と決まっていた。それが当たり前だと思っていたが。
偏差値50くらいなら、どこの大学に行って何をやっても同じようなものと思うかもしれない。しかし、なかには創意工夫をこらし、学生のことを考えた教育活動を行おうとしているところも多数ある。
聖学院大学のように、学生が伸びることを期待して、いろいろカリキュラム、課外活動を用意していくところ。
女子大は、卒業後2、3年お勤めしてお嫁さんになるために行くところというイメージがあるが、そんなところばかりではないことは、清泉女子大、白百合女子大、恵泉女学園などの取り組みを見れば明らか。
親や教師は、自分が受験したときのことがアタマにあるから、塾や予備校で想定外の学校を勧められると、「あそこは俺のときはレベルが低くて、どこにもいけない奴が行くところだった」とか、「あの学校は私が受験したときは専門学校だった」などと固定観念にとらわれがちだが、もうちょっと視野を広く持った方がいいんでしょうね。
学生募集に青息吐息の大学のかたは、この人にアドバイスを頼めばいいと思う。
103433
日本に存在するすべての大学を見に行った、東洋大学卒の元編集者、現フリーライター氏の探訪記。
今や、私大の半分近くは定員割れとなっており、募集停止、吸収合併、倒産、廃校となるのもまれではない。
その一方、どこでどんな教育がなされているのか、また、各大学のウリがなんなのか、大学自体も把握していなかったりする。
たとえば、関西の某大学ではキャビンアテンダント受験講座があるのだが、この大学は受講生を女子に限らず、むしろ男子が受講して外資系航空会社にキャビンアテンダントとして就職している。これは全国でもこの大学だけらしいのだが、当のその大学がその講座の希少性と価値にまったくきがついていなかったらしい。
理系の大学では、3年生になれば研究室に所属し、自分専用の机とパソコンが与えられ、教授、院生たちとともに教育研究に没頭し、その中で人格が磨かれて人として成長していき、ついでに就職もきまっていくのだが、文系の学生はそんなことは殆ど知らない。むしろびっくりする。
文系の学生にとって、学内での自分の居場所など、ないに等しい。サークルがあっても、部室のない大学もあり、学部の図書室さえない大学も珍しくない、らしい。
明治大学のように、教授の研究室と講義をする教室と、事務室しかない、というようなところもある。こんなところで、どうやって同世代の人間と話したり切磋琢磨しろというのだ。
図書館一つとっても、早稲田のように巨大な全学図書館と、各学部に図書室のある大学や、蔵書100万冊すべての本が開架の図書館を持つ関西学院大学(関東学院大学じゃありません)の一方、貧弱な全学図書館しかない大学もある。
東京の工業系大学にはほぼ明確なランキングがあり、工学院大学は下の方に位置する。しかし、とある学科のとある研究室は大変面白い研究をしており、そこの学生は有名企業にばんばん就職していく。
就職については、たとえ有名大ではなくても、ちゃんとした研究室のことは企業の側も知っていて、そういうところからは有名企業に続々と就職する。
千葉工業大学、なんて千葉の人間でなければ知らないようなところだが、ここも大学としてはやる気になっており、やはり就職は悪くない。
最近は文系科目で受けられる理工系大学の学部もある。そういうところでは、文系学生でも3年になったら研究室に入って机とパソコンが与えられ、あまたある文系大学では考えられない好待遇で勉強できる。
文系大学では、研究室どころか、ゼミに入らないで卒業することも可能。そして、大学内に滞留するところがなければ、講義が終わったらさっさと帰るしかなく、バイトに行くだけ。
とある経営学部の学生が、「私は●●大学の経営学部に入ったら××のゼミに入って勉強しようと思っていました。ところが、ゼミには定員があり、全学部生の半分しか入れない。これは詐欺だ。」と投書したら、「ゼミは必修ではありません。内容さえ選ばなければ全員がゼミに入れます。」と回答が帰って来たという。
文系では全員がゼミに入るのはほぼ不可能なので、語学や一般教養の教師がゼミを開校して埋め合わせている学校もあるらしい。
教授の待遇にしてから、個室が与えられる大学もあれば、6人部屋、2人部屋、なんてこともある。しかし、教授をスカウトして学校案内するときには2人部屋は見せず、個室しか案内しない、ということもあったりするから気が抜けない。
東洋大学という、マスプロの極みのような大学で、ところてん式に卒業させられた恨みがあるためか、工業系大学の研究室の存在が羨ましいらしい。
私の行っていた大学にも理工系学部があったが、ここの学生に「なんでこの大学に来たの?」と聞くと、「試験に英語がなかったから」という奴が殆どで、受験のときに英語の偏差値が60以上はあった(駿台模試だと50くらいだった)私としては、こいつらを今もバカにしているが、たしかに研究室みたいなものは私等の学部にはなく、机などがあるのは院生以上と決まっていた。それが当たり前だと思っていたが。
偏差値50くらいなら、どこの大学に行って何をやっても同じようなものと思うかもしれない。しかし、なかには創意工夫をこらし、学生のことを考えた教育活動を行おうとしているところも多数ある。
聖学院大学のように、学生が伸びることを期待して、いろいろカリキュラム、課外活動を用意していくところ。
女子大は、卒業後2、3年お勤めしてお嫁さんになるために行くところというイメージがあるが、そんなところばかりではないことは、清泉女子大、白百合女子大、恵泉女学園などの取り組みを見れば明らか。
親や教師は、自分が受験したときのことがアタマにあるから、塾や予備校で想定外の学校を勧められると、「あそこは俺のときはレベルが低くて、どこにもいけない奴が行くところだった」とか、「あの学校は私が受験したときは専門学校だった」などと固定観念にとらわれがちだが、もうちょっと視野を広く持った方がいいんでしょうね。
学生募集に青息吐息の大学のかたは、この人にアドバイスを頼めばいいと思う。
103433
コメント
最近は、研究室に学生が入ることができない仕組みの大学さえあるようです。それに比べれば、先生の大学は学生との交流が十分になされているようですが、学生はそのありがたみをわからないのかもしれませんね・・・