今日のカウンタ13827

バス停に並んでたら、自転車の前後に子供二人乗せて歩道を爆走している自転車がいた。
乗っているのが結構な男で、「あっぶねぇなぁ」と思ってみていたら、小学校の同級生だった。
「おう」「よう」と、7年ぶりとは思えない挨拶を交わし、バスに乗る。

残業前に食事に出たとき、昔一緒に働いてたヤツが自転車で車道を爆走していた。

こんな日もある。

日曜日に途中から観たNHKスペシャル通称Nスペの「ワーキングプア」を通して観る。

状況は深刻である。
全世帯の十分の一、約400万世帯が、生活保護以下の収入しかないという。

少し前に「年収300万円の経済学」という本がヒットしたが、冗談でも脅迫でも杞憂でも捕らぬ狸の皮算用でもなんでもなく、そういう時代がだれの身の上にも例外なくおりてくるような番組であった。

いくつかの問題は、

1)高校・大学を卒業するときに就職できない(しない)と、それなりにきちんとした会社の正社員になるのは難しい。

2)農業というのは、国民の食料生産という、大変重要な役割をになっているはずなのに、その農業だけでは生活するだけの収入が得られないことがある。それもまた、まれではない。

3) 1)とも関連するが、企業は正社員採用を抑え、派遣労働、アルバイトなどの非正規雇用を多用している。
景気の安全弁としての役割がある非正規雇用労働者だが、最近ではその拡大が目立つ。
本来なら正規雇用すべき職種にまで、非正規雇用が常態化しつつある。
これは、以前に日経連(現日本経団連)が出した、「新時代の日本的経営」を先取りまたは具体化しつつあるものとも言える。

4)景気がいいとか、雇用が良くなっている(本当はそんなことないが)というのは、首都圏の一部のことだけであって、大多数の地方では、景気は回復していない。
特に自営業者で顕著。
公共事業もよくない。
地方在住で、企業の正社員になろうとしても、得られる収入は東京の半分程度。
その東京の収入にしても、まさに「景気のいい」一部の大企業等での話である。東京だって景気の悪い会社はある。

じつはわが社がそう。「ボーナスの支給がよくなっている」とかいう報道があったが、わが社は前年よりも減った。ベアなんてものも、ここ数年ない。


景気がいいとか何とか言っているのは、全国に支社のあるようないわゆる大企業もしくは儲かっているベンチャー企業、またはその業界での1位2位企業くらいじゃないかという気がする。

閑話休題。

5)日本は階級社会になりつつある。
一度ある階級に位置づけられたら、そこから抜け出すのが難しいという、イギリスやインドみたいな国になりつつある。
士農工商の復活。

ワーキングプアの子弟は、希望する教育を受けられなくなる可能性がある。
親世代の収入が少ないために、子供世代は高等教育を受けられなくなる可能性が高い。
たとえば、テレビで取り上げられた東京在住の50歳の男性の場合。

45歳で勤めていた会社から解雇され、病気で妻を亡くし、アパート暮らしで、中一小六の男の子二人を抱えている。しかし、再就職はかなわず、タクシースタンドでアルバイトし、ほかにも二つ、計三つのアルバイトを掛け持ちしている。それで月収20万程度、年収も200万程度。

「高校まではなんとかなっても、大学に行かせるのは難しいだろう」と父親は語る。
息子は、大学に行って弁護士になるという夢をすでに捨てようとしている。

以前なら、出自や親の職業とは関係なく、大学に行って学歴を手に入れ、勉強すればそれなりの大企業や公務員になれた。
収入が少なくても、大学に入れるくらいはなんとかなった。いや、それもまた勤め人などのそれなりに安定した職業なら、だ。

とある大学の教授は、東大卒だが、父親は大工だ。こういう人もいた。

オレは勉強しなかったし、三流大学だったので、「なんだかなぁ」というような会社に入った。ま、それはさておき。

親世代が生活保護以下の収入しかない家庭の場合、子供世代は高等教育を受けられないかもしれない。経済的に大学に行かせられないということが今まで以上に増えていく。そのため、高収入が期待できる仕事や、安定した企業に就職できず、貧困層のままということがありえる。
高校卒の場合、たとえ就職できても、大学卒よりも生涯賃金が少ないとされている。

どんなに優秀であっても、学歴がないとつけない職業があったりする。まだそういう国なのだ、日本は。

今の日本では、教育に金がかかりすぎるということもある。国立大学でも授業料が50万くらいかかるらしい。ちなみにドイツは無料。留学生も無料。あまりに学生が滞留するので、授業料導入が検討されているらしいと聞く。

奨学金制度はあるが、旧育英会は給付ではなく貸与。給付の奨学金もあるが、当然のことながら希望者全員が受給できるわけではない。

世間様で必要とされる教育を受けたと見なされないと、それなりの職に就くのは難しい。
そうして負の連鎖が始まる。

30過ぎてホームレス状態の若者二人を別々に取り上げていた。
一人は渋谷を生活範囲として、ハローワークに通っている。
34歳で、それまでしてきた仕事は警備員とか工場での単純作業。こういう人だと、なかなか職がない。
やっと面接にこぎつけ、アルバイトとはいえ仕事にありつけるかと思ったら、履歴書に書いた昔の住所に住んでいないことで取り消しになる。

いろいろあって、駐車場での洗車の仕事についたが、時給800円で月収10万程度と、いまだホームレスから抜け出るには至っていない。

池袋を根城にしているホームレスについてはこの間も書いたので大幅に省略。
ただ、彼の場合は、両親が離婚して母親に育てられたが、高校の時に母親が家を出たため、通学しながらアルバイトするしかなかったという。同級生が就職活動しているときにも、そんな余裕はなかったとか。
しかし、高校出てから17年経っているわけだから、その間になんとかしようがなかったのかと思うがな。

職がないわけではない。都心では、ファミレス・ファーストフードなどの飲食店やコンビニの最近の時給は、1,000円が当たり前になっている。

人では不足しているのだ。余っているわけではない。

ただし、それらの仕事もまた、アルバイトであって、安定雇用ではない。

6)行政による社会的弱者の切り捨てがいっそう進んでいる。
セーフティネットが現状にそぐわず、機能していない。

年寄りで、介護が必要な身内を抱えていても、十分な保護の仕組みがない。

70過ぎて自営をしていても、地方では商売自体が成り立たないことがある。今年1月からの事業収入が1万円未満だとか。
年金をもらっていても、妻がアルツハイマーで寝たきりで入院していると、年金は全額入院費用につかわざるを得ない。
生活保護を受給しようとすると、蓄えを全額吐き出すことを行政は要求する。それがたとえ妻の葬式代としての蓄えであっても。

※十分な広報活動がなく、あったとしても申請が必要だったりする。必要とする人のところにきちんと届いていない。

別のテレビだが(多分NHK)大卒後にアメリカで修士号を取って帰国したが、適当な職場がなく、派遣で働いているうちにだんだん派遣の口自体が少なくなり、年収300万に届かないという人がいた。派遣の場合、退職金もないし、厚生年金にも入れない(最近は違うようだが)。いつ首にされても文句言えない。

50いくつにもなって独身で(ギクッ)、派遣で働いていて、蓄えもなく(貯金できるほどの収入じゃないのだ)、賃貸アパート暮らしだったら、どんなに不安だろうかと思う。
この人は、ワーキングプアとまではいかないが、その予備層だろう。
派遣で働くというのは、なんと不安定雇用なのか、と思った。
求人誌やら、新聞の求人欄には、どんなに派遣会社がきちんとした会社で、派遣で働いている先輩方が楽しそうに人生をエンジョイしていることや、派遣で働くことは時代の最先端みたいな書き方をした広告が目につく。
本人にとって都合がいいようだが、じつは企業にとって都合がいいからこんなに栄えてもいる。


一人一人のこまかな事情はいろいろあれど、総体としてみると新たな貧困層が生まれつつあることはたしかだろう。特に地方で。

個人の努力という次元の問題ではなくなりつつあるようだ。
人間一人の力ではどうしようもない大きな力で、貧困層に追いやられてそこから抜け出せない層が存在するようだ。

弱小零細企業に勤務する給与所得者にとっては、笑い事でも人ごとでもない。首は切られずとも会社がなくなることはよくあることで、なくなったとたん、それまでその会社で築いてきた(と思っている)キャリアは、無用の長物どころかなんの意味もなくなる。

私の勤めている会社は、正式な名前を妖怪株式会社といい、私のいる部署はぬらりひょん本部一反木綿方面ネズミ男営業所というが、こんな零細部署はいつ廃止になるかも分からない。
会社だっていつなくなるか分からない。

いつなんどき、定職をあっけなく失い、再雇用の口は全くなく、アルバイトでさえ雇ってくれずにまさに路頭に迷うことになるか。

まったくもって人ごとではないのだ。

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