家の近所、でもないか、出勤する途中の道に、一軒の家があった。
母親と息子が二人で住んでいて、母親は結構お歳を召していて、脚が悪いらしく、とぼとぼと歩いていた。家の近くの自動販売機で缶コーヒー買っているのを見かけて、「(おそらく)脚が悪いのと、料理をするのも大儀で、缶コーヒーを買っているのだろう」と哀しく思った。

数週間前、その家の前に「解体のお知らせ」が貼られる。
町内会の回覧で、母親が数カ月前に亡くなっていたことを知る。

その家の、以前は庭だったと思しき所に、平屋の、小屋のような小さな建物ができていて、息子はそこで(一人で)暮らしているらしい。

築後数十年経っていたと思われる古家は、イラン人?達の解体屋がやってきて、三日程度で跡形もなく綺麗に片づけていった。

会社の行き帰りにその家の前を通る。
朝は、跡形もなくなった土地の向こうに、息子(といってももう60代後半のはず)が暮らす家を眺め、帰りは、その家に灯がともっているのを見て、「一人でこんな小さな家で暮らすのは淋しくないのだろうか」と思ったりする。

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